三次元ナノダブルネットワーク構造を安定化 ―ミクロ相分離とナノ相分離の共創―

公開日:2026年7月28日
本研究成果は、2026年6月25日にドイツの国際学術誌「Small Structure」に掲載され、2026年7月号のCover featureに採択されました。 

 異なる2種類の高分子鎖がつながったジブロック共重合体は、10〜100ナノメートル程度のダブルジャイロイド構造を形成し、光学材料や分離膜などへの応用が期待されていますが、従来のブロック共重合体では、ダブルジャイロイド構造を安定に形成できる組成範囲が狭く、自由度が限られることが課題でした。
 京都大学化学研究所 竹中幹人教授らの研究グループは、大阪工業大学 平井智康 准教授、Argonne National Laboratory Byeongdu Lee博士と共同で、ポリスチレン(PS)と、長い側鎖を持つポリオクタデシルメタクリレート(PODMA)をつなげたジブロック共重合体が、ミクロ相分離構造とPODMAの長い側鎖による数ナノメートル程度のナノ相分離の階層的形成することを発見し、この階層的形成の制御によりダブルジャイロイド相の安定領域を従来の代表的なジブロック共重合体に比べて約3〜4倍広げることに成功しました。
 本研究により、高分子全体がつくるミクロ相分離と、側鎖がつくるナノ相分離を組み合わせることで、複雑な三次元ナノ構造をより安定に作れることが分かりました。この成果は、光学材料や分離膜などに役立つナノ構造を、分子設計によって狙って作る新しい方法につながります。

 

 
ダブルジャイロイド構造とナノ相分離構造の階層的形成
作成:高分子物資科学研究室
 

●用語解説●

ダブルジャイロイド構造:ダブルジャイロイド構造は、物質の中に二つの連続した通り道が三次元的に広がる、迷路のようなナノ網目構造です。互いの通り道は交わらずに入り組んでおり、光や分子の流れを制御できるため、光学材料や分離膜への応用が期待されます。

 
研究者のコメント
「今回の成果は、複数の研究者グループの密接な連携の中から生まれました。合成や構造の解析には多くの困難がありましたが、各々のグループの強みを活かし、成果が出たことを大変うれしく思っています。国際共同研究の重要性を実感した研究でした。」(竹中幹人)
 
 
研究領域情報
高分子物質科学