高反応性部位が協調する、新たな低配位元素化学の開拓 ―2つの二価ゲルマニウム部位を炭素で架橋した分子の動的挙動と反応性―
公開日:2025年7月9日
本研究は、2025年7月2日に国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載され、Hot Paperに選出されました。
京都大学化学研究所 水畑吉行 准教授、内田大地 博士後期課程学生、行本万里子 元助教、時任宣博 名誉教授、山内光陽 助教、山田容子 教授らの研究グループは、水素や二酸化炭素といった小分子の活性化で注目されるゲルミレン(R2Ge:)の化学を拡張し、炭素原子(メチレン基)で2つのゲルミレン部位を直接つないだ新しい化合物「メチレン架橋1,3-ビスゲルミレン」の合成に世界で初めて成功しました。この分子は、固体では環状の構造(二量体)を形成し、溶液中では元の解離した構造へと可逆的に変化する“動的挙動”を示すという極めてユニークな性質を持ちます。
この化合物は、従来の安定化された1,3-ビスゲルミレンでは見られなかった高い反応性を持ち、硫黄(S8)との反応によるかご型分子の構築や、ベンゼンといった安定な芳香族分子の活性化など、これまでにない化学変換を可能にします。本成果は、複数の高反応性元素部位を制御しながら動的に利用できる新たな分子設計の可能性を拓きました。
研究者のコメント
「研究室内外の多くの知見を融合することで、この成果にたどり着くことができました。架橋原子の違いがここまで大きな違いをもたらすとは予想していませんでしたが、典型元素化学の新たな展開に向けた重要な一歩だと感じています。今回報告した内容以外にも、1,3-ビスゲルミレンが多様な電子構造を持つ化学種や新規な反応性の創出につながることを見いだしています。引き続きその魅力を引き出していきたいと考えています」(水畑 吉行)
「研究室内外の多くの知見を融合することで、この成果にたどり着くことができました。架橋原子の違いがここまで大きな違いをもたらすとは予想していませんでしたが、典型元素化学の新たな展開に向けた重要な一歩だと感じています。今回報告した内容以外にも、1,3-ビスゲルミレンが多様な電子構造を持つ化学種や新規な反応性の創出につながることを見いだしています。引き続きその魅力を引き出していきたいと考えています」(水畑 吉行)
研究領域情報
有機元素化学
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