総合科学技術会議議員 黒田玲子教授(東京大学)の講演会を開催

  化学研究所では、9月29日(金)に、総合研究実験棟の遠隔会議室を会場として、総合科学技術会議(内閣府)で当初から議員をお務めの黒田玲子教授(東京 大学大学院総合文化研究科)による公開講演会(午前11時から12時半まで)を開催しました。「第3期科学技術基本計画 -基礎研究・大学・イノベーション- 」という演題で、ポスト21世紀COE(グローバルCOE)や世界トップレベル(TOP30)、イノベーション創出総合戦略など政府の直近の科学政策への 関心が学内外で高まる中、聴講者が化学研究所にとどまらず宇治地区他部局から100名を越す盛況でした。

 ご講演では、本年3月末に閣議決定された第3期科学技術基本計画の策定に至る経緯に絡みつつ、地球環境や人間社会を広く捉え歴史的な 要素も考慮した上で科学技術の問題を根底から論じてくださり、とくに基礎研究の重要性に関連して「フロンティアの研究は独自の装置開発から」などのご発言 が教示的かつ印象的で、深い感銘を覚えた聴衆も少なくなかったと思われます。また、科学教育に関する我が国の問題点、一般市民や行政に携わる者と研究者と の意思疎通の脆弱性、安易に口外される「イノベーション」の真意は“創造的破壊”であり、「並み大抵の気構えでは実現できない」という認識の欠如なども指 摘され、今後の取り組みに対する貴重な示唆をいただきました。