小松教授ら研究成果発表 「分子手術」法による水素内包フラーレンの合成に成功 !

 下記掲載の小松紘一教授らによる研究成果発表後、高エネルギー加速器研究機構(筑波)の澤博助教授のグループとの共同研究によって、放射光という強力なX線を使い「開口部をもつフラーレン中に封入した水素分子」を直接観察することに成功しました。

2005.2.27 しんぶん赤旗 に掲載
2005.2.28 日経産業新聞 に掲載


 平成17年1月12日
 小松紘一教授ら研究成果発表
 「分子手術」法による水素内包フラーレンの合成に成功

 平成17年1月12日、物質創製化学研究系構造有機化学領域の小松紘一教授らは「水素内包フラーレンの有機合成」に関する研究成果の、米国科学誌「Science」誌(1月14日号)への掲載にあたり研究成果説明会を行いました。 (於:京都大学記者クラブ)

2005.1.14 朝日新聞 に掲載
2005.1.14 京都新聞 に掲載(PDF)

小松紘一教授の研究チームは、水素分子を内包したフラーレンC60の「分子手術」法を用いた有機化学的合成に世界で初めて成功しました。 内包フラーレンの研究は、これまでもっぱら制御の困難な物理的手法に頼っており、多大の労力を払っても僅か数mgしか得られませんでした。


[上写真] 水素内包フラーレンの合成に成功した
村田理尚氏(写真中央)
左:小松紘一教授 右:村田靖次郎助手


[上写真] 「分子手術」法による
水素封入のプロセス

今回、「分子手術」と呼ぶ、制御しやすい有機化学的な手法(フラーレン分子を切開して穴を開け、さらにこの穴を拡大した後で水素分子を骨格の内部に導入、 次に水素分子を保持したまま穴を縮小していき、最後に穴を完全に閉じる)が完了し、世界中でこれまでに全く知られていなかった、水素分子を100%内包し たフラーレンを得ることに成功しました。

 この成果は、これまでに分子エレクトロニクスなどへの応用が期待されながらその製造量に限界があるために、応用面の開発の遅れていた内包フラーレン類の大量合成へのブレークスルーとなる意義を持ちます。

以下は、NHK京都放送局の取材の模様 ~ 1月13日 於:小松研究室~
( 1月14日午後6時に報道されました。)           

[上写真] 研究成果について説明する小松教授
[上写真] 水素内包フラーレンの開口部を閉じる化学反応
[上写真] フラーレンC60と水素内包フラーレンの実物