玉尾皓平教授、春の紫綬褒章受章

 平成 16年4月29日、附属元素科学国際研究センター長の玉尾皓平教授が有機金属化学研究の功績により紫綬褒章を受章されました。以下に玉尾先生の業績について紹介いたします。
 玉尾先生は一貫して「元素の特性に着目した物質創製」を基本概念とした元素科学研究を行っておられます。玉尾先生らが開発されたニッケル触媒クロスカッ プリング反応による新規炭素‐炭素結合形成法は「熊田‐玉尾反応」として知られています。本手法は触媒的クロスカップリング反応という一大分野の礎となる ものであり、今日の物質創製に不可欠な手法として広く応用されています。また、炭素‐ケイ素結合の過酸化水素酸化によるアルコール合成法「玉尾酸化」の開 発、官能性ケイ素アニオン化学の開拓・確立、ケイ素を含む環状化合物シロール類の簡便合成法の開発とエレクトロルミネッセンス(EL)素子への応用など、 有機合成化学から新機能性物質科学に亘る幅広い分野の科学技術の発展に多大な貢献をしてこられました。
 また、玉尾先生は現在、日本学術会議化学研究連絡委員会委員、文部科学省科学技術・学術政策局および研究振興局の科学技術・学術審議会専門委員、日本学術振興会外部評価委員などを務められ、日本の学術研究の発展にも大きく寄与しておられます。
 これら数々の業績が高く評価されての今回の受章は、まことに慶ばしいことであります。去る7月17日には京都大学百周年時計台記念館にて盛大に記念祝賀会が開催されました。


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京都大学百周年時計台記念館にて7月17日に行われた記念祝賀会の
様子

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章記と勲章