第20回 高校生のための化学
※当日午前7時の時点で京都府南部に「暴風警報」「特別警報」が発令されている場合は、開催を中止します。
- 主 催:
- 京都大学化学研究所
- 協 賛:
- 公益社団法人 日本化学会
- 後 援:
- 京都府教育委員会、滋賀県教育委員会、奈良県教育委員会、大阪府教育委員会、
兵庫県教育委員会、京都市教育委員会、宇治市教育委員会、城陽市教育委員会 - 日 時:
- 平成29年7月29日(土)
10時30分(開場10時)~17時00分
注意事項:
当日午前7時の時点で京都府南部に「暴風警報」「特別警報」が発令されている場合は、開催を中止します。 - 会 場:
- 京都大学宇治キャンパス
共同研究棟大セミナー室および各見学サイト(研究室、研究施設など)
(10時30分までに共同研究棟大セミナー室にお集まりください。)
〒 611-0011 宇治市五ケ庄
JR奈良線または京阪宇治線「黄檗(おうばく)」駅下車、徒歩約 7分
〔アクセスマップなどはこちら〕 〔会場への地図はこちら〕 - 対 象: 高校生
- 京都大学化学研究所は次代を担う高校生に、化学(広くは科学)の奥深さと醍醐味をより一層深く理解していただくため、「高校生のための化学」を開催しています。化学(科学)に興味をお持ちの意欲的な高校生の積極的な応募をお待ちいたしております。
なお、開催趣旨に従いまして、対象は高校生に限定※しております。中学3年程度およびそれ以上の理科を理解していることが望まれます。
※自主的意欲的な学生を対象としておりますので、教員、引率の参加はご遠慮ください。 - 参加費: 無料
- プログラム:
- 複数の見学サイトの中から、1カ所を訪問し、最先端の研究現場を見学・体験します。また、化学研究所の島川 祐一教授による講演「世の中を便利に快適にする新材料を創る」を行います。
詳細なプログラムおよび選択可能な見学サイトはこちら
参加者には当日実習レポートを作成していただきます。作成された方には修了証を授与します。 また、特に優れたレポートを作成した方には、当日最優秀賞、優秀賞を授与します。受賞者には、併せて副賞も授与します。 - 定 員: 109名
- (※ご希望のサイトが定員を超過した場合、他のサイトに参加していただきますので、ご了承ください。)
- 申込期日:
- 平成29年7月10日(月)まで
(※受入可能人数に達し次第募集を締め切りますので、あらかじめご了承ください。) - 申込方法:
- 登録フォームに必要事項を記入のうえお申し込みください。
受付は原則、先着順とします。ただし、同一高校から多数の申し込みがあった場合は、参加者数を制限させて頂くことがありますので、あらかじめご了承ください。
受講の可否につきましては、自動メールにてご連絡いたします。メールが届かない場合は、電話 (0774-38-3353)にてお問い合わせください。
*「uji.kyoto-u.ac.jp」のドメインからのメールを受信できるように設定してください。
登録フォーム - 問合せ先:
- 京都大学 宇治地区事務部 研究協力課「高校生のための化学」担当
E-mail:kokai@uji.kyoto-u.ac.jp - 個人情報について:
- 申し込みの際にご記入いただきました個人情報につきましては、厳重に管理しますとともに、第20回高校生のための化学の開催のみに使用し、他の目的に使用することはありません。
当日は、化学研究所のホームページ・広報誌、報道記事等に掲載する写真や動画を撮影します。写真掲載を望まない方は、事前にスタッフまでお知らせください。
講演
世の中を便利に快適にする新材料を創る
京都大学化学研究所 教授:島川 祐一
皆さんの日常は、スマートフォンなどの様々な電子・情報機器で便利で快適になっています。それでも、「もっと便利に、より快適に」を実現するための新しい材料の開発が求められています。未だ世界で誰も作ったことのない新物質開発でこれに応える最先端研究を、化学の視点から紹介します。
見学サイト
(以下の10の見学サイトから希望を伺い、当日は1つのサイトを体験・受講していただきます。)
分子の構造から物質の性質を理解することは化学の重要な目標の一つですが、分子の構造がわかっただけでは性質まで予測することは不可能です。これには、分子の詰まり方や配列を詳しく理解する必要があります。このサイトでは、物性の一つである撥水性を実際に測定し、これを分子の構造や配列と関連付けて理解することをめざし、分光学的な構造解析と組み合わせた議論に挑戦してみましょう。
2 炭素リング『シクロパラフェニレン』を合成しよう(有機化学)
私たちの研究グループでは、「ベンゼン環」をリング状につなげた構造を持つシクロパラフェニレン(Cycloparaphenylene: CPP)の合成に成功し、世界中から注目を集めています。本サイトでは、私たちが開発した方法を用いてCPPを実際に合成してもらいます。また、得られたCPPに紫外線を当てて発光する様子を観察したり、大型測定機器を用いた分析も行うことで、最先端の有機化学の一端を体験できます。
3 この好い香り何かな?クロスカップリングで匂い分子を合成!(有機合成化学)
本見学サイトでは,鉄を触媒とするクロスカップリング反応で匂い分子を高校生に合成してもらいます。身の回りにある様々な匂い分子を題材として僅かな分子構造の差に基づく匂いの違いと,地球上に豊富に存在する鉄を触媒として有用なクロスカップリング反応が進行するという最先端化学を併せて学んでもらいます。
生物の設計図は基本的にDNA配列に書かれています。でも、その量は人間の場合でもCD-ROM一枚に収まる程度です。ちょっとしたゲームソフトより少ない量なのです。その理由はとても不思議でまだほとんどわかっていません。しかし、一部分の配列データについては、コンピュータを使ってその意味や性質を予測する方法が世界中で数多く開発されてきました。それらのプログラムのいくつかを体験して頂きたいと思います。
微生物は35億年の進化の過程で生息域を広げ、今では地球上のほとんどあらゆる環境に生息しています。当見学サイトでは、南極の細菌など極限的な環境に生育する微生物の環境適応の仕組みと、これら特殊環境微生物が生産する有用酵素について紹介します。また、身近な酵素(ホタルの発光酵素など)を使った酵素反応実験を通して酵素反応の基本原理を理解していただきます。
私たちのDNAには個人差があります。この違いを利用したものの一つが犯罪捜査などで耳にするDNA鑑定です。当見学サイトでは、この違いが現在どのようなものに応用されているかを紹介するとともに、実際に皆さん自身の細胞やiPS細胞などからDNAを取り出し、塩基配列の繰り返し数が個人によって異なる箇所の遺伝子を増やして、最新の検出法を用いて、この違いを体感してもらいたいと思います。
有機化合物は、一般に炭素、窒素、酸素、水素等の低周期元素からできており、生物を構成するだけではなく、日用品や薬品等、様々な形で生活に利用されています。一方、有機化合物の構成元素を高周期元素(重い元素)で置き換えた化合物は、様々な色を持つなど、通常とは異なる性質を示します。本サイトでは、ケトン(>C=O)の酸素を重い元素である硫黄で置き換えた「重いケトン」を実際に合成して、どんな色を持つのかを実際に見ていただきたいと思います。
8 有機エレクトロルミネッセンスー光る有機分子をつくってみよう(材料化学)
有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)は、有機物が電気によって発光するデバイスです。スマートフォン、タブレット端末、薄型テレビ等の表示媒体のみならず、水銀使用の蛍光灯にかわる環境負荷の少ない照明としての利用が期待されています。本プログラムでは、その有機EL研究で用いられている蛍光発光する有機分子(Alq3)の合成と発光特性の観察を行います。
生物の遺伝情報を担う分子であるDNAは、相補的な塩基配列をもつ2本の分子鎖による逆平行二重らせん構造をとっています。DNAには自律的にこの安定構造をとるという性質があり、その性質は生命現象において利用されているだけでなく、分子生物学の実験においても活用されています。このサイトでは、1本鎖DNAが如何に正確に塩基配列相補的な相手分子鎖を見つけ出すかを検証し、DNAが分子としてもつ特殊な性質に迫ります。
光の時代といわれている21世紀の光技術の根幹を担っているのがレーザーです。太陽からの眩しい光線を虫眼鏡で集めると紙片を燃やします。そのような光線も透明な水やガラスは通ってしまいます。一方、強力なレーザー光線では透明な水からなんと虹色の光が現れます。本サイトでは高強度レーザー装置の見学、レーザー光線をつかったミニ実験を通して先端光科学の一端に触れてもらいます。