第22回 化学研究所 公開講演会を開催

 平成27年10月25日、第22回化学研究所 公開講演会を開催しました。
 時任宣博所長の挨拶の後、渡辺文太助教(生体機能化学研究系生体触媒化学)による講演「グルタチオンと活性酸素種:酵素の阻害剤研究からアンチエイジング化粧品の実用化へ」がありました。アンチエイジング化粧品の原材料であるナールスゲン®が皮膚のコラーゲン産生を増やすしくみについてQ&A方式で解説しました。もともと、肝硬変などの様々な病気に関係する酵素に着目して阻害剤の開発研究を行っていたところ、化粧品の開発につながっていったことなど、研究の裏話も披露されました。  
 次の講演は、阿久津達也教授(バイオインフォマティクスセンター数理生物情報)による「ゲノム情報と化学情報のコンピュータ解析:高校数学+αによる先端的解析手法」でした。コンピュータによってゲノム情報から生物学的知識を見つけ出す研究においては、解析をただコンピュータ任せにするのではなく、そこに数学的工夫が施されていることをグラフ理論に基づき解説しました。これから研究室で取り組みのはじまる人工知能研究についての夢も語られました。  
 最後の、金光義彦教授(元素科学国際研究センター光ナノ量子元素科学)の講演「太陽電池の魅力と課題」は、我々の身近にある太陽電池の開発の歴史と研究内容の紹介でした。太陽電池の本体は半導体であり、光る半導体はすぐれた太陽電池になること、研究室では半導体をナノレベルで制御する研究がなされていることなど、研究の最前線を解説しました。  
   どの講演も、日ごろ身近に接している物に関連する話題であり、その最先端の科学の解説は来場者の関心を集めました。参加者はのべ80人に達しました。
 

 

       
 
    挨拶
時任 宣博所長
渡辺 文太助教
「グルタチオンと活性酸素種:酵素の阻害剤研究からアンチエイジング化粧品の実用化へ」
 
  阿久津 達也教授
「ゲノム情報と化学情報のコンピュータ解析:高校数学+αによる先端的解析手法」
金光 義彦教授
「太陽電池の魅力と課題」