複合基盤化学研究系 ―分子集合解析研究領域―

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 分子集合体の構造物性相関を解明し高機能性分子システムを創りだすことを目標として、構造・電子構造の解析による有機薄膜・固体の物性化学研究と、電気測定による生物細胞・膜や高分子等の研究を進めています。

 有機半導体を中心として特徴的な電子物性が望める分子性物質の創出に向けた前者の研究は、有機固体とくに薄膜の分子集合形態と直接的観測方法による電子構造との相関解明を軸としています。ことに、分子集合体の薄膜・結晶やその界面のフロンティア電子構造を調べるため、価電子状態に対する紫外光電子分光法と空状態に対する逆光電子分光法を組み合わせて適用していますが、それが可能な研究室は世界でも限られています。一方、そのようにして得られた知見も活用して、新しい分子集合系を探索・構築する研究も並行しています。たとえば、電子供与性基と受容性基を準非局在結合で結んで顕著な両性と極性を備えた分子を作ってその集合化を制御したり、新たな電子物性の発現や制御につながる結合や電子構造の顕著な動的挙動を求めて光/熱誘起による有機固相反応系を探索したりしています。

 後者の研究は、ミクロな分子集合体からマクロな不均質系まで、構造解析を基礎に生体挙動を含む機能との相関解明に向けた、非破壊で「その場観測」可能な手法を活かした研究です。水溶液中の脂質二分子膜や生体膜の膜・界面の構造(イオンチャンネル等)と機能の相関を電気生理学的手法や誘電緩和法により調べる研究、諸条件下での細胞形態の変化を走査型誘電顕微鏡など手法も開発しながら捉える研究などがその例です。

 

   ・スタッフ
       助教  Richard MURDEY