第9回 高校生のための 化学 ~ 化学の最前線を聞く・見る・楽しむ会 ~

主 催: 京都大学化学研究所
協 賛: 日本化学会近畿支部、日本薬学会近畿支部、日本バイオインフォマティクス学会
後 援: 京都府教育委員会、滋賀県教育委員会、奈良県教育委員会、大阪府教育委員会、
京都市教育委員会、宇治市教育委員会、城陽市教育委員会
日 時: 平成18年7月29日(土)10時00分~16時30分
会 場: 京都大学宇治キャンパス
化学研究所共同研究棟 大セミナー室
など
  〔交通〕 JR奈良線または京阪宇治線「黄檗 おうばく」駅下車、徒歩 7分
対 象: 高校生および中学生、教員等。
参加費: 無料
プログラム:

11の見学のサイトの中から、午前・午後一ヶ所ずつを訪問し、最先端の研究現場の見学・体験をします。(詳細なプログラムおよび選択可能な見学サイトは下をご覧下さい。)

定 員: 先着順約 150名 (ただし、各サイトに先着順約15~20名の定員があり、午前もしくは午後のみのサイトもあるため、ご希望のサイトを見学できない場合もあります。ご了承下さい)
参加申込方法:

氏名・所属・連絡先住所・電話番号および希望のサイトを第1希望から第4希望まで記して、ホームページ電子メール、葉書、またはFax で下記までお申し込みください。折り返し、ご連絡を差し上げます。当日、大学内の(生協)食堂は営業をしておらず、昼食のお弁当(600円)を販売いたします。購入を希望される方は併せてお申し込み下さい。

申込期日: 平成18年7月14日(金)必着 
申込先:

〒611-0011 宇治市五ケ庄  京都大学宇治地区事務部研究協力課 講演委員会「高校生のための化学」担当

申込用フォーム:

http://www.kuicr.kyoto-u.ac.jp/seminar/event/application.phtml?project_id=5

  E-mail * kokai@uji.kyoto-u.ac.jp
FAX * 0774-38-3369(電話: 0774-38-3354)

プログラム

10:00-10:15 「化学研究所について」  
 
京都大学化学研究所副所長 

佐藤 直樹

10:15-10:40 「見学要領の説明」
10:40-12:20

「午前の部の見学」

各見学サイト(選択可能見学サイト:A1, A2, A4, A5, A6, A7, A9, A10, A11

12:20-13:40

「昼食休憩」

13:40-15:20

「午後の部の見学」

各見学サイト(選択可能見学サイト:A1, A3, A4, A5, A6, A8, A9, A10, A11

15:20-16:30

「総合討論、なんでも聞いてみよう(参加者からの質問の受け付け)」

     

A1「ビームの結晶化への挑戦 」(ビーム物理学)

粒子加速器の中を走っている粒子ビームの振る舞い、特にビームが冷却されることによって、その様子が変化していくメカニズムを見てい ただきます。また、化学研究所にある粒子加速器施設の見学を通じて、粒子加速器の基本的なしくみと、医療など社会での応用についても、見ていただきたいと 思います。

A2「DNAを観察しよう!:植物が環境に適応する秘密を探る 」(植物分子生物学)
生物は、生育する環境の情報を感知して、それに対応する生存戦略を実行しています。定住型の植物は、移動型の動物と異なり、発芽した 場所に生き残るために、さまざまな仕組みをもっています。このサイトでは、植物が展開するミクロの世界の生存戦略を、目に見える形で紹介します!簡単なス ライドによる説明の後、実験と観察を通して自分の目と手で、植物の生存戦略を実感してください。具体的には、生存戦略の設計図である遺伝子の情報が詰まっ ている「ゲノミックDNA」を各自で精製して観察します。また、環境に適応する植物の紹介とオジギソウなどの観察を通じて、遺伝子の役割と進化について考 えます。

A3「分子がつくる薄膜中で電子は…?」(有機物質の物性化学)
半導体というとシリコン、ガリウムとヒ素の化合物などが頭に浮かぶでしょうが、有機物の半導体も半世紀前に日本、イギリス、旧ソ連の 研究者がほぼ同時に見つけました。今、その有機半導体がエレクトロニクスの一翼を担う時代を迎えています。分子を集めてできる物質は多彩で、電気の伝えや すさだけでも絶縁体から超伝導体にまで及び、それが様々な応用に結びつきます。このサイトでは、そのような”分子集合体”の物性を研究しているメンバー が、基礎科学と応用技術の両方の立場から興味深い「分子がつくる薄膜」に注目し、その中で電子がどんな状態にあると薄膜がどのような性質を示すか一緒に考 えたいと思います。

A4「見てみよう!超臨界水の世界」(溶液化学、物理化学)

油を溶かして環境ホルモン・ダイオキシンを分解する水、超臨界水の化学を紹介します。同じ水分子で構成されているが、普通の水とは違 う超臨界水の世界を体験してみましょう。本見学会では、超臨界水とは何かについて説明し、超臨界水がプラスティックを溶かしていく様子を直接観察します。 その後、超臨界水の構造・反応を探る世界最先端の装置を見学し、超臨界水の中で実現する環境に優しい化学反応について議論します。当日はスタッフ・大学院 生が研究の面白さが伝わるよう親切に説明を行いますので気軽に御参下さい。


A5「カラフルな重い元素の世界~青いケトン~」(有機元素化学)
有機化合物は、一般に炭素、窒素、酸素、水素といった低周期元素からできており、私たち人間や動植物等の生物を構成するだけではな く、日用品や薬品等、様々な形で私たちの生活に利用されています。一方、これら有機化合物の構成元素を同族の高周期元素(重い元素)で置き換えた化合物 は、様々な色を持つなど、通常の有機化合物とは異なる性質を示し、注目を集めています。本サイトでは、有機化合物として「ケトン」(>C=O)を例に挙 げ、構成元素を重い元素(今回は硫黄)で置き換えた「重いケトン」を実際に合成して頂きます。「重いケトン」がどんな色を持つのかを実際に見て頂き、カラ フルな重い元素の世界の入り口に皆様をご招待致します。

A6「微生物のバイオテクノロジー」(応用微生物学)
私たちの身体には、およそ60兆個の細胞があるといわれています。しかし、私たちの体の表面や腸の中にはもっと多くの微生物がいて、 その数はおよそ100兆個といわれています。日頃、私たちは意識していませんが、私たちは2倍の数の微生物を身体の表面や消化管に住まわせ、彼らと仲良く 暮らしています。微生物の中には病原菌もおりますが、逆に非常に役立つものがあり、これらの微生物を用いる数々のバイオテクノロジーが開発され、医薬、食 品、洗剤、化学薬品などの製造、環境浄化など、微生物はいろいろな目的に使われております。微生物バイオテクノロジーの現状を分かりやすく紹介します。

A7「光を使って高分子を調べよう」(高分子物理化学)
プラスチックや繊維など、生活の中に幅広く用いられている「高分子」という物質は光を使って、ナノレベルからミクロンレベルまでの構 造を調べることができます。そこで、光を用いて高分子の構造を調べるための方法の原理を知ってもらうために簡単な工作および実習をしていただきます。そこ から、「可視光を測定手段として用いる方法」について簡単に説明したいと考えています。当日は、スタッフ・大学院生が実習のお手伝いをいたします。そこ で、一緒に実習をして実際の研究ってどんなのなんだろうか?ということを見ていただきたいと思います。

A8「化学で生命を探る~ケミカルバイオロジーの世界を覗く」(ケミカルバイオロジー)
みなさん高校の生物学に満足していますか。生物を理解した気になりますか。私たちはどうしても分かった気になれないのです。生命の営 みは、せんじつめれば化学反応などの化学の現象で成り立っています。遺伝子にしても、体内エネルギーにしても、正体は化学物質だ。生体で起こっていること の全てを化学記号で書くことができれば、生命が分かった気になるのでしょう。生命現象が化学の現象なら、化学を使って生命現象を解くことができるはずで す。化学を使って生命を解く学問をケミカルバイオロジーといいます。その先端の実験現場を体験してください。

A9「カラフルに染めて覗いてみよう!細胞の世界」(細胞生物学)
私たちの身体をつくる細胞の多くは肉眼では見えない小さなものですが、顕微鏡を使ってさらに1つ1つの細胞を詳しく見てみると、膜で 隔てられたさまざまな形の微小な区画(オルガネラ)が細胞中あちこちに観察できます。代表的な核やミトコンドリアなどは教科書でもご覧になったことがある かも知れません。でも、オルガネラの形は本当に教科書のイラスト通りなのでしょうか?当見学サイトでは、さまざまな蛍光・染色試薬を使って細胞を染めて、 細胞や細胞内のオルガネラが本当はどんな形をしているのかを実際に見て頂こうと思います。ミクロの細胞の世界をぜひご覧下さい。

A10「巨大分子を造って、見て、触ろう!:高分子の不思議な世界」(高分子化学)
原子・分子が多数つながった巨大分子(高分子)。その連結性が生み出す特異な性質にちなみ、衣料から食品・エレクトロニクス・医療用 まで、様々な高分子材料が開発され、私たちの生活を支えています。当見学サイトでは、巨大分子を操り「人工いくら」や「コンタクトレンズ」を実際に造っ て、また、巨大分子が織りなす「ナノの世界」や、巨大分子ならではの性質「体温を感じる奇妙な高分子」などを見て、触って、巨大分子の面白さと不思議さを 体験してみましょう。

A11「超高強度の光がつくる虹色」(レーザー物質科学)
光の世紀といわれている21世紀の光技術の根幹を担っているのがレーザーです。太陽からの眩しい光線を虫眼鏡で集めると紙片を燃やし ます。そのような光線も透明な水やガラスは透過してしまいます。もっともっと強力なレーザー光線では透明な水からなんと虹色の光が現れます。超高強度の レーザー装置を見学して、そのレーザー光線によるミニ実験を通じて先端光科学の一端に触れてもらいます。レーザーに関する疑問などにもお答えします。