第8回高校生のための 化学 ~ 化学の最前線を聞く・見る・楽しむ会 ~

主 催:  京都大学化学研究所
協 賛:  日本化学会近畿支部、日本薬学会近畿支部
後 援:  京都府教育委員会、滋賀県教育委員会、奈良県教育委員会、大阪府教育委員会(申請中)、 
京都市教育委員会、宇治市教育委員会、城陽市教育委員会
日 時:  平成17年7月30日(土)10時00分~16時30分
会 場:  京都大学宇治キャンパス
化学研究所共同研究棟 大セミナー室など
  〔交通〕 JR奈良線または京阪宇治線「黄檗 おうばく」駅下車、徒歩 7分
対 象:  高校生および中学生、教員等。
参加費:  無料
定 員: 約 150名 (ただし、各見学と体験サイトの定員枠の事情により、
ご希望に添えない場合もあります(先着順)。 )
参加申込方法:  氏名、所属、連絡先住所・電話番号および希望のサイト2つ( A1 – A6および B1 – B5 からそれぞれ1つ)をそれぞれ第1希望から第3希望まで記して、ホームページ電子メール、葉書、または Fax で下記までお申し込みください。折り返し、連絡を差し上げます。又当日、大学生協の食堂は営業しておらず、昼食のお弁当 ( お茶付き ) を600円にて販売いたします。購入を希望される方は併せてお申し込み下さい。

 

申込期日: 平成17年7月20日(水)必着 
申込先: 〒611-0011 宇治市五ケ庄  京都大学宇治地区事務部研究協力課 講演委員会
  E-mail * kokai@uji.kyoto-u.ac.jp
  FAX * 0774-38-3369(電話: 0774-38-3354)
  申し込み多数により、受付を終了いたしました。(2005/07/08)

 


 

プログラム
10:00 – 10:15 「化学研究所について」
 
京都大学化学研究所所長 
江崎 信芳
10:15 – 11:25 「一家に1枚周期表」の楽しみ方
 
理化学研究所フロンティア研究システム長 
玉尾 皓平
京都大学低温物質科学研究センター教授 
寺嶋 孝仁
京都大学化学研究所教授 
横尾 俊信
 参加者全員に「一家に1枚周期表」をプレゼント。この周期表は、理科離れ改善対策の一環として、「美しくかつ豊富な情報を含んだ周期表」を各家庭に普及させ、身の回りのものは全て元素からできていること、そして科学技術の発展とその恩恵を普段の日常生活の中で広く認識して貰える状況を構築したい、リビングルームで周期表を見ながら親子で科学のはなし、という状況を創り出し浸透させたい、との思いから作られたものです。日頃からこの周期表に親しむことによって、一人でも多くの若い人たちが化学に興味をもち好きになってほしいとの願いが込められています。製作の中心的役割を果たしてこられた研究者たちと一緒に元素の話を楽しみましょう。 
11:25 – 11:35 「見学要領の説明」

 

13:00 – 14:30  「見学と体験 第1部(A1-A6)
A1「ビームの相転移への挑戦ー気相から液相を経て固相へ 」(ビーム物理学):
 粒子加速器の中を走っている粒子ビームの振る舞い、特にビームが冷却されることによって、その様子が気体状態から固体状態へと変化していくメカニズムを見ていただきます。また、化学研究所にある粒子加速器施設の見学を通じて、粒子加速器の基本的なしくみと、医療など社会での応用についても、見ていただきたいと思います。
A2「弾む液体-流れる固体:分子の運動を体感しよう 」(分子レオロジー):
 私たちの身の回りには、固体のようで液体のような不思議な物質(たとえばスライム)があります。どうしてこんな性質がでるのでしょうか。その鍵は物質の中の分子の運動にあります。分子の運動が変形についてゆけないほど遅い時に物質は固体のようにふるまい、そうでなければ液体のような性質が現われます。本サイトでは、いろいろな力によって分子が変形・運動する様子を体感することで、物質内でうごめく分子に親しんでいただけるものと思います。このサイトを楽しんでいただけるように、物質の流動・変形と力に関する科学(レオロジー)を専門とする渡辺と井上が、参加者の皆様のお手伝いをします。 
A3「極微の世界:分子・原子の並びを直接その眼で!」(物理化学):
 近年、ナノテクノロジーやナノサイエンスという言葉を盛んに耳にします。その対象は分子・原子のサイズの構造です。私たちの研究室では、世界でもトップクラスの性能を誇る超高分解能電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡・走査型電子顕微鏡などを用いてこれらの構造解析に取り組んでいます。見学者の皆さんには、これらの装置に実際に触れていただいて、原子・分子が並んでいる極微の世界を直接覗いていただこうと思います。ナノサイエンスの最先端に触れてみて下さい。
A4「微生物のバイオテクノロジー」(応用微生物学):
 私たちの身体には、およそ60兆個の細胞があるといわれてます。しかし、私たちの体の表面や腸の中にはもっと多くの微生物がいて、その数はおよそ100兆個といわれてます。日頃、私たちは意識していませんが、私たちは2倍の数の微生物を身体の表面や消化管に住まわせ、彼らと仲良く暮らしています。微生物の中には病原菌もおりますが、逆に非常に役立つものがあり、これらの微生物を用いる数々のバイオテクノロジーが開発され、医薬、食品、洗剤、化学薬品などの製造、環境浄化など、微生物はいろいろな目的に使われております。微生物バイオテクノロジーの現状を分かりやすく紹介します。
A5「カラフルな重い元素の世界~青いケトン~」(有機化学):
 有機化合物は、一般に炭素、窒素、酸素、水素といった低周期元素からできており、私たち人間や動植物等の生物を構成するだけではなく、日用品や薬品等、様々な形で私たちの生活に利用されています。一方、これら有機化合物の構成元素を同族の高周期元素(重い元素)で置き換えた化合物は、様々な色を持つなど、通常の有機化合物とは異なる性質を示し、注目を集めています。本サイトでは、有機化合物として「ケトン」 (>C=O)を例に挙げ、構成元素を重い元素(今回は硫黄)で置き換えた「重いケトン」を実際に合成して頂きます。「重いケトン」がどんな色を持つのかを実際に見て頂き、カラフルな重い元素の世界の入り口に皆様をご招待致します。
A6「きて、みて、さわって、五感で感じる有機化学 」(生物有機化学):
 普段何気なく接している匂いや味。意識していないだけで、立派な化学物質です。その正体は何でしょう?構造式はそっくりなのに、舐めてみると、嗅いでみるとぜんぜん違う味と匂い(例:アミノ酸の立体異性体と味、レモンの香りと石油の匂い)。匂いや味を手始めに、分子の立体構造や極性など、奥深い有機化学の森にも分け入ってみます。分子はとても小さくて、ちょっととらえどころがないように思えますが、ちゃんと「見る」方法があります。いろいろな有機化合物を、実際に手にとって、きて、見て、さわって、徹底的に体験してみましょう。ナビゲーターは化学大好きの大学院生。お楽しみに。 
15:00 – 16:30  「見学と体験 第2部(B1-B5)
B1「見てみよう!超臨界水の世界」(溶液化学、物理化学):
  油を溶かして環境ホルモン・ダイオキシンを分解する水、超臨界水の化学を紹介します。同じ水分子で構成されているが、普通の水とは違う超臨界水の世界を体験してみましょう。本見学会では、超臨界水とは何かについて説明し、超臨界水がプラスティックを溶かしていく様子を直接観察します。その後、超臨界水の構造・反応を探る世界最先端の装置を見学し、超臨界水の中で実現する環境に優しい化学反応について議論します。当日はスタッフ・大学院生が研究の面白さが伝わるよう親切に説明を行いますので気軽に御参下さい。
 
B2「びっくり強烈な光がつくる虹色の世界」(レーザー物質科学):
  21世紀は光の世紀と言われています。その光技術の根幹を担っているのが、レーザーと言っても過言でありません。本見学会では、レーザーの基本的な性質を、ヘリウム・ネオンレーザーの反射・屈折・回折現象を通して感じてもらいます。また、最先端のレーザーによる様々な反応の一例として、高強度レーザーによって生成する虹色光を観測し、最新レーザー技術の一端に触れてもらいます。最後に世話人と見学者による懇談を通じて、レーザーに関する疑問等にお答えします。
 
B3「巨大分子を造って、見て、触ろう!:高分子の不思議な世界」(高分子化学):
  原子・分子が多数つながった巨大分子(高分子)。その連結性が生み出す特異な性質にちなみ、衣料から食品・エレクトロニクス・医療用まで、様々な高分子材料が開発され、私たちの生活を支えています。当見学サイトでは、巨大分子を操り「人工いくら」や「コンタクトレンズ」を実際に造って、また、巨大分子が織りなす「ナノの世界」や、巨大分子ならではの性質「体温を感じる奇妙な高分子」などを見て、触って、巨大分子の面白さと不思議さを体験してみましょう。
 
B4「環境を感じて積極的に適応する植物!」(植物分子生物学):
  生物は、外界の情報を感じとって環境に適応して生存しています。生存場所を選べる動物と異なり、植物は生育場所を移動しないので、生きていく為に様々な方策を駆使しています。今回、「植物が生存の為に取っているミクロの世界の戦略」を、目に見えるかたちで紹介します!簡単なスライド説明の後、いくつかの実験と観察を通して、自分の目と手で「植物の戦略」を実感して下さい。具体的には、雨、風、光などの外部刺激に反応する植物や環境に適応する植物の形づくりを、肉眼、湿式走査型電子顕微鏡、実体顕微鏡を使って観察します。また、植物の生存戦略の設計図を担う目に見えない遺伝情報の元(遺伝子、ゲノミック DNA )を目でみえるかたちで観察します。
 
B5「分子がつくる薄膜中で電子は…?」 (有機物質の物性化学):
  半導体というとシリコン、ガリウムーヒ素化合物などが頭に浮かぶでしょうが、有機物の半導体も半世紀前に日本、イギリス、旧ソ連で同時に見つかっています。そして、その有機半導体がエレクトロニクスの一翼を担う時代が到来しています。電気の伝えやすさに限っても絶縁体から超伝導体まで分子を集めてできる物質は多彩で、それが様々な応用に結びつく訳です。そのような“分子集合体”の物性を研究している佐藤直樹がこのサイトの世話人で、研究室のメンバーと共に、基礎科学と応用技術のどちらの立場からも興味深い「分子がつくる薄膜」に注目し、そこでは電子がどんな状況にありそのため薄膜がどのような性質を示すかなどについて紹介します。