第7回高校生のための化学 – 化学の最前線を聞く・見る・楽しむ会 –

主 催: 京都 大学化学研究所  
協 賛:  日本化学会近畿支部 
後 援:  京都府教育委員会、滋賀県教育 委員会、奈良県教育委員会、大阪府教育委員会、
  京都市教育委員会、宇治市教育委員会、城陽市教育委員会 
日 時: 平成16年7月31日(土)10時00分~16時30分
会 場: 〒 611-0011宇治市五ヶ庄 
  京都 大学宇治キャンパス 化学研究所共同研究棟大セミナー室など 
  〔交通〕JR奈良線または京阪宇治線「黄檗 おうばく」駅下車、徒歩 7分
対 象:  高校生および中学生、教員等。 
参加費:  無料
定 員: 約 150名 (ただし研究現場の紹介と見学のサイトそれぞれの定員が先着順約30名 なので
  ご希望に添えない場合もあります )
参加申込方法:  氏名、所属、連絡先住所・電話番 号、訪問を希望する見学サイト2カ所
  (午前中 のサイトAM1~AM6のうちの1カ所および午後のサイトPM1~PM6
  のうちの1カ所) を記して、ホーム ページ、電子メール、葉書、または
  Fax で下記までお申し込みください。折り返し、連絡を差し上 げます。
申込期日: 平成16年7月16日(金)必着
申 込先: 〒611-0011宇治市五ケ庄  京都大学宇治地区事務部研究協力課 講演委員会 
  ホームページ: http://www.kuicr.kyoto-u.ac.jp/seminar/apply.phtml
  E-mail:kenkyo@uji.kyoto-u.ac.jp
  FAX: 0774-38-3399(電話: 0774-38-3353) 

プログラム

概要説明 10時00分~10時30分(共同研究棟大セミナー室)

  • はじめに 化学研究所 所長 高野幹夫
  • 化学研究所全体の紹介
  • 見学要領の説明
      (見学していただく12ケ所の研究現場の紹介と各見学サイトの世話人の紹介)

午前の部の見学 10時40分~12時10分

サイトAM1『見てみよう!超臨界水の世界』 (溶液化学、物理化学) 
油を溶かして環境ホルモン・ダイオキシンを分解する水、超臨界水の魅 力。同じ水分子で構成されているが、普通の水とは違う超臨界水の世界を体験してみましょう。本見学会では、超臨界水とは何かについて説明し、超臨界水 が油を溶かしていく様子を直接観察できるように配慮します。その後、超臨界水の構造・反応を探る世界最先端の装置を見学し、超臨界水の中で実現する環 境に優しい化学反応について議論します。また、不思議な水の性質に関する「科学的雑談」を研究室スタッフ・大学院生と行ないます。 

サイトAM2 『低温・高圧・極微の世界』 (無機固体化学)
私たちの生活している1気圧、20℃の世界を離れ、低温・高圧・極微の世界をのぞいてみませんか?マイナス196℃の液体窒素を使って、 見慣れた風船やテニスボールが極低温でどう変化するかを体験し、高温超伝導体を磁気浮上させてみましょう。また、地下500kmに相当する6万気圧という圧力下で、ダイヤモンドを合成できる高圧発生装置や、電子顕微鏡のスケー ルで物質の加工を行うナノテクノロジーの最前線を紹介します。 

サイトAM3 『きて、みて、さわって、五感で感じる有機化学』 (生物有機化学) 
普段何気なく接している匂いや味。意識していないだけで、立派な化学物質です。その正体は何でしょう?構造式 はそっくりなのに、舐めてみると、嗅いでみるとぜんぜん違う味と匂い(例:アミノ酸の立体異性体と味、レモンの香りと石油の匂い)。匂いや味を手始め に、分子の立体構造や極性など、奥深い有機化学の森にも分け入ってみます。身近な製品に使われているハイテク化学もご紹介します。色々な有機化合物 を、実際に手にとって、きて、見て、さわって、徹底的に体験してみませんか?ナビゲーターは化学大好きの大学院生。ぜひお越しください。 

サイトAM4 『微生物のバイオテクノロジー』 (応用微生物学) 
私たちの身体には、およそ60兆個の細胞があるといわれてます。しかし、私たちの体の表面や腸の中にはもっと多くの微生物がいて、その数はおよそ100兆個といわれてます。日頃、私たちは意識していませんが、 私たちは2倍の数の微生物を身体の表面や消化管に住まわせ、彼らと仲良く暮らしていま す。微生物の中には病原菌もおりますが、逆に非常に役立つものがあり、これらの微生物を用いる数々のバイオテクノロジーが開発され、医薬、食品、洗 剤、化学薬品などの製造、環境浄化など、微生物はいろいろな目的に使われております。微生物バイオテクノロジーの現状を分かりやすく紹介します。 

サイトAM5 『カラフルな重い元素の世界~青いケトン~』(有機元素化学 )
有機化合物は、一般に炭素、窒素、酸素、水素といった低周期元素からできており、私たち人間や動植物等の生物 を構成するだけではなく、日用品や薬品等、様々な形で私たちの生活に利用されています。一方、これら有機化合物の構成元素を同族の高周期元素(重い元 素)で置き換えた化合物は、様々な色を持つなど、通常の有機化合物とは異なる性質を示し、注目を集めています。本サイトでは、有機化合物として「ケト ン」(>C=O) を例に挙げ、 構成元素を重い元素(今回は硫黄)で置き換えた「重いケトン」を実際に合成して頂きます。「重いケトン」がどんな色を持 つのかを実際に見て頂き、カラフルな重い元素の世界の入り口に皆様をご招待致します。 

サイトAM6 『極微の世界:原子・分子の並びを直接その眼で!』 (物理化 学)
近年、ナノテクノロジーやナノサイエンスという言葉を盛んに耳にします。その対象は分子・原子のサイズの構造です。私たちの研究室では、世 界でもトップクラスの性能を誇る超高分解能電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡・走査型電子顕微鏡などを用いてこれらの構造解析に取り組んでいます。見学 者の皆さんには、これらの装置に実際に触れていただいて、原子・分子が並んでいる極微の世界を直接覗いていただこうと思います。ナノサイエンスの最先端に触れてみて下さい。

昼食休憩  12時10分~13時30分

 

午後の部の見学 13時30分~15時00分

サイト PM1『加速器-極微の構造を探る』(加速器・ビーム物理学)
電子やイオンなど電荷を帯びた粒子を、光のスピード近くまで加速する粒子加速器は、物質の構造を調べ る道具として、広く利用されています。こうした粒子加速器の加速原理やその応用などを、スライド、コンピュータなどをもちいて解説します。実験室で は、電子ビーム蓄積リングにおいて、電子ビームそのものの様子や、電子ビームが放出する光(放射光)をビデオなどをもちいて見てもらいます。また、加 速器実験室内に設置されている、イオン加速器、電子加速器、電子蓄積リングの見学もあわせておこないます。

サイトPM2 『巨大分子を造って、見て、触ろう!:高分子の不 思議な世界』(高分子化学) 
原子・分子が多数つながった巨大分子(高分子)。その連結性が生み出す特異な性質にちなみ、衣料から食品・エレクトロニクス・医療用まで、様々 な高分子材料が開発され、私たちの生活を支えています。当見学サイトでは、巨大分子を操り「人工いくら」や「コンタクトレンズ」を実際に造って、ま た、巨大分子が織りなす「ナノの世界」や、巨大分子ならではの性質「体温を感じる奇妙な高分子」などを見て、触って、巨大分子の面白さと不思議さを体験してみましょう。

サイトPM3 『電気の眼で見る分子集団の性質』(物性化学、分子レオロジー)
無機物ばかりではなく、有機物にも、これからの新しいエ レクトロニクスを支えると予想される物質がたくさん見つかってきています。これらの有機物質を使った新しい素子の性質は、分子の中の電子がとり得るエ ネルギー状態と、電気に対する分子の応答性で決まります。本サイトでは、分子集団中の電子のエネルギー状態を調べる実験方法と装置を見学していただ き、さらに、電気の力で分子を運動させる時に出てくる応答を体感していただきます。電子の状態や分子の運動などに興味のある人を大歓迎します。

サイ トPM4 『ビーカーの中で作れるの? -低温溶融ガラス-』(無機材料科学)
窓ガラスやビンガラスなどは、1500℃という高温の真っ赤 に灼熱した炉の中で原料を溶かして製造されている。最近、我々の研究室ではゲル溶融法および無水酸塩基反応法という二つの新規な低温ガラス合成方法を 独自に開発しました。このうちゲル溶融法という方法を用いて、無機骨格を部分的に有機分子で修飾した構造を持つ常温~200℃で溶融する低温溶融ガラスをビーカーの中で合成します。このガラスに有機色素を導入して着色したり、 また融体からファイバーを紡糸したりしてみよう。当日はスタッフ・大学院生が研究の面白さ、ガラスの魅力についてもお話します。気軽に参加して下さ い。

サイトPM5 『高分子メゾスケールの世界。触って、並べて、見てみよう』 (高分子化学) 
「メゾスケール」というのは耳慣れない言葉ですが、もともと「中間」という意味で,分子の大きさであるナノメートルとミリメートルの間の大きさ のことを指し、物質の性質を決める重要な構造が存在していることが知られています。当見学サイトでは、最も身近な物質である高分子から実際にファイバ ーを作り、光学顕微鏡や偏光板などを用いてファイバーのメゾスケールの構造を調べます。高分子ファイバーがどのような性質を持っているのか、その性質 がどのような構造に由来するのかを実際に「目で見える形」で示します。 

サイトPM6 『アツガリを決める遺伝子:分子行動学の手ほどき』(生物化学)
動物の行動はおもしろい。交尾前にラブソングを奏でるハエもいれば、太陽が照り付けると逆立ちをするトンボも いる。実はそのような行動は遺伝子によって制御されています。私たちは、「アツガリなショウジョウバエ」を発見し、その一風変わった体温調節行動 が、 「あるひとつの遺伝子」の異常に由来することを見出しました。本サイトでは、その「あるひとつの遺伝子」が動物の行動をいかに制御しているかを身をもって体験しましょう。

総合討論、なんでもきいてみよう(一般の質問の受け付け) 15時10分~16時30分