第5回「高校生のための化学 -化学の最前線を聞く・見る・楽しむ会 -」

 京都、滋賀、奈良の府県、京都、宇治、城陽の各市を中心とする地域の高校生・中学生に、各教育委員会のご後 援を得て、化学・化学研究のフロンティアを解説と実体験を通じて垣間見ることにより、その意義や楽しさを実感してもらうための催しを今夏も実施します。今年度は参加者それぞれが希望する見学サイト2カ所(午前の部および午 後の部よりそれぞれ1カ所)でじっくりと、化学の最前線を聞き、見て、楽しんでいただく見学会を計画しています。日時、見学サイトの案内は次の通りです。

  • 日 時:平成14年8月23日(金)10時00分~ 16時30分
  • 場 所:化学研究所共同研究棟大セミナー室(〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄)
  • 対 象:高校生、中学生、教員等
  • 定  員:約150名(先着順)
  • 参加費:無料

参加申込方法 (ここをクリックすると申し込み用紙の印刷ができます 

氏名・所属・連絡先住所・電話番号および希望見学サイト2つ(AM1-AM4およびPM1-PM4それぞれから1つ)を記入して電子メール、葉書、 またはファックスで下記までお申し込みください。

申込先:〒 611-0011 京都府宇治市五ヶ庄

京都大学宇治地区事務部研究協力課  講演委員会

E-Mail:kenkyo@uji.kyoto-u.ac.jp

FAX: 0774-38-3399(TEL:0774-38-3353)

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主催:京都大 学化学研究所

協賛(申請中):日本化学会近畿支部

後援 (申請中):京都府教育委員会、滋賀県教育委員会、奈良県教育委員会 

        京都市教育委員会、宇治市教育委員会、城陽市教 育委員会

プログラム

化学研究所全体の紹介(10時00 分~10時40分)

見学と体験:午前の部(10時40分~12時20分)

 

AM1 「見てみよ う! 超臨界水の世界」(物理化学):油を溶かしてダイオキシンを分解する 水、超臨界水。同じ水だけど、普通の水とは違う超臨界水の世界を見てみよう。本見学会では、超臨界水とは何かについて説明し、超臨界水が油を溶かしていく様子を目で見ていただきます。その後、超臨界水の構造・反応を探る世界最先端の装置を見学し、超臨界水の中でおきる環境に優しい化学反応について議論します。また、不思議な水の性質に関する「科学的雑談」を研究室スタッフ・大学院生と行ないます。

AM2 「高温超伝導とナノ磁石」(無機固体化学):ダイヤモンドも合成できる数万気圧という高い圧力下で物質を作る高圧合成法や真空中でバラバラにした原子から物質を組み上げていく薄膜法を使って、新しい性質をもつ無機化合物を生み出す現場を紹介します。液体窒素を使った、マイスナー効果による磁気浮上など超伝導の世界を知る実験を行います。また、電子顕微鏡のスケールで物質の加工を行ったり、磁性を調べるナノテクノロジーの最前線を紹介します。当日はスタッフ・大学院生が研究の面白さが伝わるよう親切に説明を行いますので気軽に参加して下さい。

AM3 「五感で感じる有機化学」(生物有機化学):普段何気なく接している匂いや味。意識していないだけで、匂いも味も立派な化学物質です。どこかで嗅いだことのあるにおい、何かで食べたことのある味、良い匂いくさいニオイ、甘い・辛い、正体はいったい何?自分の体で確かめよう。不思議や不思議、構造式はそっくりなのに、舐めてみると、嗅いでみると、ぜんぜん違う味と匂い。“旨みのもとを探れ!(アミノ酸の立体異性と味について)”、“香料は鏡の世界(スペアミントとキャラウェイ)”など、いろいろな化学物質の匂いを実際に嗅いでみることにより、構造と匂いの関係を実感し、簡単な分析もしていただきます。他にも、目で見て触る分子の極性(ジエチルエーテルと1-ブタノールの違い)やワインとパスツールの話(不斉炭素の発見)などなど、身近に転がっている有機化学、これまで紙の上でしか知らなかった有機化学を体験して下さい。当日は化学大好きのスタッフや大学院生が皆さんをお待ちしております。

AM4 「微生物のバイオテクノロジー」(応用微生物学):微生物というと、病原菌を思い浮かべるかもしれません。しかしそれは、微生物の中のほんの一部です。ほとんどの微生物はわれわれに害を与えないどころか、逆に、非常に大切な働きをしてくれます。私た の身体には、およそ60兆個の細胞があるといわれてます。しかし、私たちの体の表面や腸の中にはもっと多くの微生物がいて、その数はおよそ100兆個といわれてます。日頃、私たちは意識していませんが、私たちは2倍の数の微生物を身体の表面や消化管に住まわせ、彼らと仲良く暮らしているのです。それどころか、よく調べると、微生物の中には非常に役立つものがあることも分かってきました。特に微生物の生産する酵素には産業上有用なものがたくさんあります。今や、微生物を用いる数々のバイオテクノロジーが開発され、医薬、食品、洗剤、化学薬品などの製造、環境浄化など、微生物はいろいろな目的に使われております。微生物バイオテクノロジーの現状を分かりやすく紹介します。微生物の培養装置や微生物酵素の分析装置などを見学しましょう。 

 

見学と体験:午後の部(13時20分~15時00分) 

 

PM1 「ナノの世界を覗い みませんか!」(物理化学):ナノテクノロジーやナノサイエンスといった言葉に代表されるナノメーターサイズの世界(少数の分子や原子からなる世界ですが)を覗く顕微鏡の最先端研究現場を公開します。ナノ世界と顕微鏡について簡単な説明を行った後、電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡によるナノ観察実習を行う計画です。実際に顕微鏡を操作してナノ世界を体験してください。また、研究室の若い人から若くない人までがお相手しますので、気軽に参加して雑談も楽しんでください。

PM2 「加速器ー極微の構造を探る」(加速器・ビーム物理学):電子やイオンなど電荷を帯びた粒子を、光のスピード近くまで加速する粒子加速器は、物質の構造を調べる道具として、広く利用されています。こうした粒子加速器の加速原理やその応用などを、スライド、コンピュータなどをもちいて解説します。実験室では、電子ビーム蓄積リングにおいて、電子ビームそのものの様子や、電子ビームが放出する光(放射光)をビデオなどをもちいて見てもらいます。また、加速器実験室内に設置されている、イオン加速器、電子加速器、電子蓄積リングの見学もあわせておこないます。

PM3 「巨大分子を造って、見て、触ろう!:高分子化学への第一歩」(高分子化学):原子・分子が多数つながった巨大分子(高分子)。この連結性が生み出す特異な性質を利用して、衣料からエレクトロニクス・医療用まで、私たちの生活を支える様々な高分子材料(繊維、樹脂、ゴムなど)が開発されています。当見学サイトでは、実際に巨大分子を造って、見て、触って、高分子化学の面白さ、不思議さを体験してみましょう。」

PM4 「遺伝子操作で植物を変える」(植物分子生物学):人為的に外部遺伝子を植物に導入して得られる、性質の変化した個体を形質転換植物といいます。有用な植物を作成したり、遺伝子の機能を調べる手段として広く利用されています。遺伝子の導入方法や実際の形質転換植物をスライドを用いて解説します。また、設備・機器の見学では、遺伝子組換実験室(P3レベル)、光子測定器(花や根などの組織特異的に発現する遺伝子の状況を、ホタルの発光遺伝子を目印に利用して観察します)、湿式査電子顕微鏡(植物組織の表面微細構造が観察できます)、実体顕微鏡(植物器官の構造が観察できます)、イメージ分析機(オートラジオグラフィーを迅速に行う画像 解析装置)、などを紹介します。

 

総合討論、何でも聞いてみよう! (15時00分~16時30分)