第18回 高校生のための化学 ~ 先端高度研究の一端を学ぶ ~

主 催:
京都大学化学研究所
協 賛:
公益社団法人 日本化学会
後 援:
京都府教育委員会、滋賀県教育委員会、奈良県教育委員会、大阪府教育委員会、兵庫県教育委員会、京都市教育委員会、宇治市教育委員会、城陽市教育委員会
日 時:
平成27年7月25日(土)
10時30分(開場10時)~17時00分
会 場:
京都大学宇治キャンパス
総合研究実験棟CB-215,CB-217および各見学サイト(研究室、研究施設など)
(10時30分までに総合研究実験棟CB-215,CB-217にお集まりください。) 
〒 611-0011 宇治市五ヶ庄
JR奈良線または京阪宇治線「黄檗(おうばく)」駅下車、徒歩約 7分
〔アクセスマップなどはこちら〕 〔会場への地図はこちら〕
対 象:
高校生
 京都大学化学研究所は次代を担う高校生に、化学(広くは科学)の奥深さと高度研究の醍醐味をより一層深く理解していただくため、「高校生のための化学」を開催しています。化学(科学)に興味をお持ちの意欲的な高校生の積極的な応募をお待ちいたしております。
 なお、開催趣旨に従いまして、対象は高校生に限定しております。また、中学3年程度およびそれ以上の理科を理解していることが望まれます。
自主的意欲的な学生を対象としておりますので、できるだけ教員、引率の参加はご遠慮ください。
 
参加費:
無料
プログラム:
午前中は化学研究所の上杉 志成教授による講演を行います。午後からは複数の見学サイトの中から、1カ所を訪問し、最先端の研究現場を見学・体験します。
詳細なプログラムおよび選択可能な見学サイトはこちら
参加者には後日実習レポートを作成していただき、8月1日(土)までにご提出いただいた方に修了証を授与します。 また、特に優れたレポートを作成した方に最優秀賞、優秀賞を授与します。
定 員:
94名
(※ご希望のサイトが定員を超過している場合は、別のサイトに参加していただきますので、あらかじめご了承ください。)
申込期日:
平成27年7月6日(月)まで
(※受入可能人数に達し次第募集を締め切りますので、あらかじめご了承ください。)
申込方法:
登録フォームに必要事項を記入のうえお申し込みください。
受付は原則、先着順とします。ただし、同一高校から多数の申し込みがあった場合は、参加者数を制限させて頂くことがありますので、あらかじめご了承ください。
受講の可否につきましては、自動メールにてご連絡いたします。メールが届かない場合は、電話 (0774-38-3353)にてお問い合わせください。
*「uji.kyoto-u.ac.jp」のドメインからのメールを受信できるように設定してください。
登録フォーム
問合せ先:
京都大学 宇治地区事務部 研究協力課「高校生のための化学」担当
E-mail:kokai@uji.kyoto-u.ac.jp
個人情報について:
申し込みの際にご記入いただきました個人情報につきましては、厳重に管理しますとともに、第18回高校生のための化学の開催のみに使用し、他の目的に使用することはありません。
注意事項:
・当日午前7時の時点で京都府南部に「暴風警報」「特別警報」が発令されている場合は、開催を中止します。

 

プログラム

          10:00 開場(総合研究実験棟CB-215,CB-217にお集まりください)
10:30-10:45 概要説明
・所長挨拶 10:45-11:45 「講演 : くすりの形」(詳細はこちらから)
京都大学化学研究所・iCeMS 教授 上杉 志成
12:00-13:00 「昼食休憩」
※当日、大学生協の食堂が営業していますので、ご利用ください。
13:00-13:30 各サイトの説明・移動
13:30-16:30 サイト見学と研究体験・自由討論
見学サイト(1 2 3 4 5 6 7 8 9)からお選びください
16:30-17:00 質疑応答・アンケート記入

 

講演

くすりの形 京都大学化学研究所・iCeMS 教授:上杉 志成

この講演では「くすりの形」というポスターを解説します。化学研究所とiCeMSで作成したこのポスターは、4月に全国の小中高等学校4万校に配布されました。人類が生み出してきた多くの薬の中から、最近使われている新しい薬や、長く使われている薬をとりあげて、化学構造式とその形を模したイラストを並べました。薬は「魔法」ではなくて「科学」です。みなさんが科学者になって、難病を治癒する新薬を生み出してくれることを願います。

 

見学サイト
(以下の9つの見学サイトから希望を伺い、当日は1つのサイトを体験・受講していただきます。)

1遺伝子データのコンピュータ解析(バイオ情報学)

生物の設計図は基本的にDNA配列に書かれています。でも、その量は人間の場合でもCD-ROM一枚に収まる程度です。ちょっとしたゲームソフトより少ない量なのです。その理由はとても不思議でまだほとんどわかっていません。しかし、一部分の配列データについては、コンピュータを使ってその意味や性質を予測する方法が世界中で数多く開発されてきました。それらのプログラムのいくつかを体験して頂きたいと思います。

2 重い元素の世界~青いケトン~(有機化学)

有機化合物は、一般に炭素、窒素、酸素、水素等の低周期元素からできており、生物を構成するだけではなく、日用品や薬品等、様々な形で生活に利用されています。一方、有機化合物の構成元素を高周期元素(重い元素)で置き換えた化合物は、様々な色を持つなど、通常とは異なる性質を示します。本サイトでは、ケトン(>C=O)の酸素を重い元素である硫黄で置き換えた「重いケトン」を実際に合成して、どんな色を持つのかを実際に見ていただきたいと思います。

3 分子集合系の構造と表面物性(物理化学)

分子の構造から物質の性質を理解することは化学の重要な目標の一つですが、分子の構造がわかっただけでは性質まで予測することは不可能です。これには、分子の詰まり方や配列を詳しく理解する必要があります。このサイトでは、物性の一つである撥水性を実際に測定し、これを分子の構造や配列と関連付けて理解することをめざし、分光学的な構造解析と組み合わせた議論に挑戦してみましょう。

4 細胞内現象の顕微鏡観察(細胞生物学)

細胞内で起こっている現象をどのように解析すればよいでしょうか?顕微鏡観察はそのための強力な手段です。細胞の中には、核やミトコンドリアをはじめ、様々な細胞小器官が存在します。これらは、蛍光・染色試薬を使って見ることができます。また、緑色蛍光タンパク質(GFP)などを利用することで、タンパク質の動きも可視化できます。本サイトでは、細胞内現象を顕微鏡観察によって解析します。

5 炭素リング“シクロパラフェニレン”を合成しよう(有機化学)

サッカーボール状の構造を持つフラーレンや筒状構造のカーボンナノチューブといった炭素材料は、次世代の有機材料として興味が持たれています。その中でも、フラーレンやナノチューブの部分構造であり、「ベンゼン環」をリング状につなげた構造を持つシクロパラフェニレン(CPP)が最近注目されています。本サイトでは、最先端の有機化学合成の手法を用いてCPPを実際に合成し、その性質を観察します。

6 有機エレクトロルミネッセンスー光る有機分子をつくってみよう(材料化学)

有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)は、ノーベル物理学賞受賞で話題となった無機の発光ダイオードとは異なり、有機物が電気によって発光するデバイスです。音楽プレーヤー、スマートフォン、タブレット端末等の表示媒体のみならず、水銀使用の蛍光灯にかわる環境負荷の少ない照明としての利用が期待されています。本サイトでは、その有機EL研究で用いられている蛍光発光する有機分子(Alq3)の合成と発光特性の観察を行います。

7 微生物の環境適応と酵素の化学(微生物化学)

微生物は35億年の進化の過程で生息域を広げ、今では地球上のほとんどあらゆる環境に生息しています。当見学サイトでは、南極の細菌など極限的な環境に生育する微生物の環境適応の仕組みと、これら特殊環境微生物が生産する有用酵素について紹介します。また、身近な酵素(ホタルの発光酵素など)を使った酵素反応実験を通して酵素反応の基本原理を理解していただきます。

8 DNA塩基配列認識の化学(生物化学)

DNAは通常2つの長い分子が逆平行に並んで右巻きの螺旋をつくり、生体内で安定な構造をとっています。このとき2つの分子が塩基配列相補的であることが安定性のために重要となります。この塩基配列の相補性の化学的基盤について学び、それを利用するとどのようなことができるのかについて実験で確かめます。具体的にはPolymerase Chain Reaction (PCR)という手法を用いて染色体DNA中の1塩基の違いを見分ける実験を行います。

9 高強度の光がつくる虹色(高強度レーザー科学)

光の世界といわれている21世紀の光技術の根幹を担っているのがレーザーです。太陽からの眩しい光線を虫眼鏡で集めると紙片を燃やします。そのような光線も透明な水やガラスは透してしまいます。一方、強力なレーザー光線では透明な水からなんと虹色の光が現れます。本サイトでは高強度レーザー装置の見学、レーザー光線をつかったミニ実験を通して先端光科学の一端に触れてもらいます。