第15回高校生のための化学-先端高度研究の一端を学ぶ-

主 催:   京都大学化学研究所    
協 賛: 公益社団法人 日本化学会    
後 援: 京都府教育委員会、滋賀県教育委員会、奈良県教育委員会、大阪府教育委員会、
京都市教育委員会、宇治市教育委員会、城陽市教育委員会
 
日 時: 平成24年7月28日(土)11時00分~16時30分  
会 場: 京都大学宇治キャンパス 化学研究所
共同研究棟 大セミナー室 および各見学サイト(研究室、研究施設など)
〒 611-0011 宇治市五ヶ庄
 
  JR奈良線または京阪宇治線「黄檗(おうばく)」駅下車、徒歩約 7分
〔アクセスマップはこちら〕
 
対 象: 高校生
 京都大学化学研究所は次代を担う若人に科学研究の一端を知っていただくために、毎年「高校生のための化学」を開催してきました。第15回の節目を数える今年度は化学(広くは科学)の奥深さと高度研究の醍醐味をより一層深く理解していただくことを目的に企画いたしました。化学(科学)に興味をお持ちの意欲的な高校生の積極的な応募をお待ちいたしております。
 尚、今年度の開催趣旨に従いまして、対象は高校生に限定しております。また、同一高校から多数の申し込みがあった場合には、参加者数を制限させて頂くことがありますので、あらかじめご承知ください。また、中学3年以上の理科を理解していることが望まれます。
自主的意欲的な学生を対象としておりますので、教員、引率の参加はご遠慮ください。
 
参加費: 無料    
プログラム: 午前中は化学研究所准教授の若宮淳志先生による講演を行います。午後からは9カ所の見学サイトの中から、1カ所を訪問し、最先端の研究現場を見学・体験します。
詳細なプログラムおよび選択可能な見学サイトはこちら
 
定 員: 80名
(※ご希望のサイトが定員を超過している場合は、ご参加いただけませんので、あらかじめご了承ください。)
 
申込方法: 登録フォームに必要事項を記入のうえお申し込みください。
受講の可否につきましては、7月18日(水)までにメールにてご連絡いたします。指定の日までに連絡が届かない場合は、電話 (0774-38-3353)にてお問い合わせください。
申し込みはこちらから(申込用フォーム)
 
申込期日: 平成24年7月6日(金)必着  
問合先: 京都大学 宇治地区事務部 研究協力課「高校生のための化学」担当
E-mail:kokai@uji.kyoto-u.ac.jp
 
個人情報
について:
申し込みの際にご記入いただきました個人情報につきましては、厳重に管理しますとともに、第15回高校生のための化学の開催のみに使用し、他の目的に使用することはありません。  
プログラム


ポスター(PDF)

10:30
開場(会場:共同研究棟 大セミナー室)
11:00-11:10
概要説明
 ・所長挨拶
11:10-12:00
「講演 : 元素周期表を眺めてみよう」
化学研究所准教授 若宮淳志
12:00-13:10
「昼食休憩」
※当日、大学生協の食堂が営業していますので、ご利用ください。
13:10-13:30
各サイトの説明・移動
13:30-15:30
サイト見学と研究体験
見学サイト(1 2 3 4 5 6 7 8 9)からお選びください
15:30-16:30
自由討論・アンケート記入
各見学サイトの教員、大学院生が質問に答えます。また、アンケートのご記入にご協力ください。
見学サイト
1 光の性質と分子の構造 (物理化学)
  分子は原子がつながってできていますが、そのつながり方(分子構造)はどのようにして実験的に決めるのでしょうか。高校化学では、元素分析によって炭素・水素・酸素の原子数の比を求める手法を習いますが、それだけでは構造は決まりません。分子の化学結合が光を吸収する性質を使うと、この問題に取り組めます。物理で習う光と化学は密接な関係にあるのです。大学化学の代表的な一分野である、この考え方の入り口を紹介します。
 
2 高分子の合成と分析ー見て、触れられる、”巨大分子”の科学 (高分子化学)
  原子・分子が多数つながった”巨大分子”である高分子。その連結性が生み出す特異な性質にちなみ、衣料から食品・エレクトロニクス・医療用まで、様々な高分子材料が開発され、私たちの生活を支えています。当サイトでは、身近な高分子の一つである合成繊維の作成と、その構造の機器分析を行います。見て、触れられる、巨大分子ならではの性質を体験しましょう。
 
3 重い元素の世界~青いケトン~ (有機化学)
  有機化合物は、一般に炭素、窒素、酸素、水素等の低周期元素からできており、生物を構成するだけではなく、日用品や薬品等、様々な形で生活に利用されています。一方、有機化合物の構成元素を高周期元素(重い元素)で置き換えた化合物は、様々な色を持つなど、通常とは異なる性質を示します。本サイトでは、ケトン(>C=O)の酸素を重い元素である硫黄で置き換えた「重いケトン」を実際に合成して、どんな色を持つのかを実際に見ていただきたいと思います。
 
4 次世代クロスカップリング反応による香料分子の合成 (有機合成化学)
  空気のように目に見えない物質も、水のように透明で味のない物質も、すべての物質は原子と分子からできています。目には見えないけれど、確かにそこに存在する香水や花の香り。当サイトではまず、その正体である『香料分子』の構造について学びます。さらに,2010年に鈴木先生・根岸先生がノーベル化学賞を受賞したクロスカップリング反応で、目的の香料分子を合成します。医薬品の製造などにも応用される、最先端の有機合成を実体験しましょう。
 
5 高分子の結晶化過程の観察 (高分子物理)
  「結晶」と聞くと宝石や金属などの比較的硬い材料を想像するのではないでしょうか?柔軟性に富む材料のプラスチックも微視的に見ると結晶になっていることが判ります。実は、防弾チョッキや自動車のバンパーなどの性能は、プラスチックの結晶によってささえられているのです。このサイトでは、顕微鏡等を用いてプラスチックが宝石にも負けないくらい美しい結晶を形づくる様子を観察します。
 
6 遺伝子データのコンピュータ解析 (バイオ情報学)
  生物の設計図は基本的にDNA配列に書かれています。でも、その量は人間の場合でもCD-ROM一枚に収まる程度です。ちょっとしたゲームソフトより少ない量なのです。その理由はとても不思議でまだほとんどわかっていません。しかし、一部分の配列データについては、コンピュータを使ってその意味や性質を予測する方法が世界中で数多く開発されてきました。それらのプログラムのいくつかを体験して頂きたいと思います。
 
7 微生物の環境適応と発酵 (微生物化学)
  微生物は35億年の進化の過程で生息域を広げ、今では地球上のほとんどあらゆる環境に生息しています。地球環境の形成に欠かせない重要な役割を担うとともに、私たちの健康や食生活にも役立っています。当見学サイトでは、南極の細菌など極限的な環境に生息する微生物の環境適応の仕組みを紹介します。また、身近な微生物の一例として、近年注目されている発酵食品「塩麹」の観察や酵素の機能解析を通して、「微生物の力」を実感していただきます。
 
8 低温物理学 −196℃の世界 (低温物理学)
  液体窒素(-196℃)を使った基礎的な物理実験を行います。空気の収縮・膨張、超伝導体の不思議な性質、磁石にくっつく液体酸素などの実験を通して低温物理学、物質科学の面白さを実感してもらいます。また、高校生にも分かるレベルでその背景にある物理の解説も行います。当日はスタッフ・大学院生が研究の面白さが伝わるよう親切に説明を行いますので気軽に参加してください。
 
9 極低温ビームの実現を目指して (加速器・ビーム物理学)
  イオン等の粒子の集団が束になり、併進する状態をビームと称します。通常のビームはその重心系で粒子がばらばらに運動する気体状態ですが、電子ビーム冷却やレーザー冷却によって極低温まで冷却すると横方向の拡がりが抑制され、相互の反発力のため位置関係が入れ替われなくなり、相転移を起こして液体を経て固体状態へと移行していくと期待されます。加速器・ビーム冷却装置の見学を通じて極低温ビームの研究成果に触れると共に、装置の一部を使ってビームの運動量分析実験を行い、ビームの運動の様子を実感してください。