第23回 化学研究所 公開講演会を開催

 平成28年10月23日、第23回化学研究所 公開講演会を開催しました。

 時任宣博所長の挨拶の後、村田靖次郎教授(物質創製化学研究系構造有機化学)による講演「フラーレン:炭素だけで構成される最も美しい分子」がありました。フラーレンが物理・化学・生物など幅広い分野で使われていること、研究室で取り組んでいる有機薄膜太陽電池への応用を美しいグラフィックとともに解説しました。金属原子や水分子をフラーレンに内包する実験の手法についてもわかりやすい説明がありました。

 次の講演、辻井敬亘教授(材料機能化学研究系高分子材料設計化学)による「滑らかに、しなやかに!身の回りの摩擦損失を低減する新材料」では、車の製造過程で使用される軸受けを例に、摩擦低減のメカニズムや高分子材料の利用について解説がありました。注目の材料である濃厚ポリマーブラシの合成の工夫や、産学連携研究への展開の詳細についても紹介されました。

 最後の、二木史朗教授(生体機能化学研究系生体機能設計化学)の講演「生命を支えるペプチド:そのはたらきと可能性」では、アミノ酸・ペプチドの研究の歴史や身近にある健康食品の話を導入に、ペプチドホルモンについて解説しました。また研究室で取り組んでいる、”薬を必要な場所に必要な量だけ届ける”仕組みを確立するための研究についても抗がん剤の実験を例に紹介がありました。

 どの講演も最先端の研究の実際がうかがえる内容で、来場者から多くの質問が寄せられました。参加者はのべ120人に達しました。


挨拶
時任 宣博所長

村田 靖次郎教授
「フラーレン:炭素だけで構成される最も美しい分子」

辻井 敬亘教授
「滑らかに、しなやかに!身の回りの摩擦損失を低減する新材料」

二木 史朗教授
「生命を支えるペプチド:そのはたらきと可能性」