所長挨拶

化学研究所長 時 任 宣 博
物質創製化学研究系 有機元素化学研究領域)教授

 

 化学研究所(以下、化研)は、「化学に関する特殊事項の学理および応用の研究を掌る」を設立理念として、1926年に設立された京都大学で最初の附置研究所で、昨年11月に学内外から多数の列席者を得て創立90周年記念行事を挙行したところです。多彩な化学を中心に物理から生物、情報学に及ぶ広い分野で、設置理念を時宜に応じて実践しつつ、一貫して基礎研究を重視した先駆的・先端的研究を進めてきました。現在、専任教員約90名からなる30研究領域(研究室)が、物質創製化学、材料機能化学、生体機能化学、環境物質化学、複合基盤化学の5研究系と先端ビームナノ科学、元素科学国際研究、バイオインフォマティクスの3附属センターにわたり、個々・相互連携による先端研究を展開するとともに、各々が本学の理、工、農、薬、医、情報学の6研究科11専攻に及ぶ協力講座として有為な若手研究者の育成に努め、学部教育や全学共通教育にも積極的に貢献しています。

 化研では、文部科学大臣認定の共同利用・共同研究拠点事業「化学関連分野の深化・連携を基軸とする先端・学際研究拠点」(2016年度より第2期)や大学間連携事業「統合物質創製化学研究推進機構」(2016年度より第3期)などを通じて、化学関連分野の研究者コミュニティへの貢献や関係各大学との連携研究等を積極的に進めています。また国外組織とも、本学全部局中最多の部局間学術交流協定を締結し、国際連携研究や大学院生を含む若手研究者の国際研究交流支援を、独自のプログラムを交えて推進しています。

 一方、現代社会では、持続発展可能な社会の構築が喫緊の課題とされています。物質が関わる多様な問題を幅広く研究してきた化研にとって、材料・エネルギー・生命などに関わる広範な物質科学の重要課題の解決が肝要と考え、学内他部局と様々な連携事業を企画・遂行しています。2015年度からは、エネルギー理工学研究所及び生存圏研究所と連携し、文部科学省支援プロジェクト「グリーンイノベーションに資する高効率スマートマテリアルの創製研究」を遂行しております。さらに2015年4月には、学内の附置研究所・センター群の連携・協力をより効果的に推進する新組織「京都大学研究連携基盤」が設置され、化研もその一員として活動を開始しています。これらの連携研究活動の発展にも大いにご期待ください。

 大学を取りまく状況が種々厳しさを増す中、化研がその理念を踏まえた主務たる研究とともに教育や国際・社会貢献に一層注力できるよう、青山卓史、山子茂の両副所長と寺西利治共同研究ステーション長の助勢を得て、微力を尽くす所存です。皆様のご理解とご支援を宜しくお願いいたします。

2017年4月